マクロ経済環境の変化によるリスク
当社への影響
各国に広がりつつある保護主義、中国や新興国経済の成長鈍化、米中対立の影響による世界経済の減速懸念や世界的な地政学リスクの発現や米国の関税措置の影響による景気減速など、これらの地域における経済活動の停滞は当社グループの業績を悪化させる要因となる可能性があります。とりわけ、中国に偏りつつあったサプライチェーンの再編や米国の政治動向、地域を問わない政治的・経済的紛争により投資が左右されることは、業績に関わる重要度の高いリスクと認識しています。
具体的な影響への対応策
世界5軸体制による海外事業展開に伴い連携を強化した海外各国の当社グループ会社との密なコミュニケーションにより、迅速な情報の入手と展開を行う体制を構築しています。また、事業ポートフォリオの機動性を活かして速やかに事業シフトを行うとともに、政治的不安定地域、経済減速地域の取引先を最大限にサポートすることにより、業績悪化のリスクを最小限にとどめる体制となっています。
海外売上高比率増大に伴うリスク
当社への影響
中期経営計画の着実な実行により海外売上高比率は今後も高まっていくものと予想しており、このため国際的な金融環境、税制、為替レート動向、原油や原材料価格・輸送費用の動向、顧客企業の生産拠点への設備投資動向等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外での事業活動には予期できない政治体制・経済環境の変動、法律・規制の変更等による社会的混乱等のリスクが存在します。
具体的な影響への対応策
当社グループのグローバルネットワークや幅広い取引先との関係を活かして迅速に情報・動向を把握し、最適な取引形態を選択することにより収益減少のリスクを最小限にとどめるよう努めています。
金利・資金調達に関わるリスク
当社への影響
運転資金の機動的かつ安定的な調達と金利コストの削減を目指しておりますが、金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用カの悪化により格付機関から当社グループに付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループの営業活動の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の売上高及び金利動向によっては金融収支が悪化し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、加えて、国内外の主要金融市場において大きな混乱が生じた場合には、資金調達コストが増大する可能性もあります。
具体的な影響への対応策
金融機関との良好な関係の継続や、適時の対話による機関投資家との関係の構築と深化に努めるとともに、資金調達先の多様化を図っています。また、不測の事態に備えた資金政策や、良好な財政状態の維持による格付けの維持や向上により、運転資金の機動的かつ安定的な調達、資金調達コストや金利コストの削減に努めています。
IT・システムのリスク
当社への影響
セキュリティの高度化、コンピュータシステムデータのバックアップ等によりシステムやデータの保護に努めておりますが、自然災害、コンピュータ・ウイルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりシステムや通信ネットワークに甚大な障害が発生した場合、取引先との受発注業務をはじめ、事業活動に支障をきたすほか、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な影響への対応策
事業継続対策の一つとして十分な安全性を備えたデータセンター及びクラウドサービスを利用しシステムやデータの保護を図っており、役職員が使用するコンピュータ等の末端機器への監視システムを導入することでコンピュータ・ウイルスや不正アクセスへの対応を行っています。また、電力・通信インフラの不具合による事業活動への影響に対し、当社グループが定める事業継続対応マニュアルにおいて、速やかに安全な地域に移動し事業停止期間を最短に抑える対策を講じています。
事業の展開に関わるリスク
当社への影響
当社グループのビジネスモデルは機械メーカーの代理店業に特化したものから、技術革新に伴う取引先工場の生産支援、技術サポート等へとサービスの幅を広げております。それに伴い、モノ(商品)のみの取引からコト(役務)としての取引へと事業範囲が拡大しており、同時に個々の案件の取引規模も拡大し、また取引が複雑化、長納期化しております。大型工事案件の増加による事故の発生、それに伴う法的責任や費用の発生、技術の陳腐化に伴う市場価値の下落などの市場・事業に対するリスクが想定されます。
ここ数年で増大した、納入設備のリモート立ち上げ・試運転・検収立ち会い等に関して、検収後に不具合、要調整項目や未確認項目が発覚し、設備の不具合解消や調整のみならず契約上の責任、費用が発生することが想定され、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な影響への対応策
十分な技量を備えたエンジニアの採用とその人事評価制度の整備や、契約締結に関わる法務・経営管理部門の強化等、リスク回避とビジネスチャンス獲得に向けた市場への対応力、競争力を高める取り組みを行っています。
これまで積み上げたノウハウのさらなる蓄積、成功事例の迅速な検証とともに、法務・経営管理部門の機能強化を通じて、リスクの回避を図っています。
与信リスク
当社への影響
当連結会計年度末における当社グループの売上債権の合計額は516億86百万円と、総資産の 30.2%を占めており、取引先の信用悪化や経営破綻等により損失が発生するリスクを負っています。経済環境の悪化等による取引先の流動性危機、連鎖倒産、もしくは特定の大口与信先の経営不安等が発生し債権等が回収不能になった場合などは、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な影響への対応策
取引権限やリスク管理に関する規程に則り、与信限度額・成約限度額について必要な承認手続きを行うこと、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証等の取り付けをすること、債権の流動化等のリスクヘッジを講じています。
長期戦略や中期経営計画におけるリスク
当社への影響
当社グループは、長期の成長戦略及び中期経営計画を策定しており、これらの戦略や計画は中長期に及ぶことから、リスクが潜在する期間も中長期にわたることに加え、積極的に推進を図っていく事業関連投資やその他投資においても、十分な効果が現れなかった場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な影響への対応策
機能強化している経営企画部門を中心として投資検討能力の向上によるリスクの最小化を図っており、投資実行後は、定期的検証に基づく進捗分析、変更是非の検討と判断、速やかな開示を行っていきます。
災害リスク
当社への影響
地震、台風、火災、感染症の流行等の災害発生により、当社グループの事務所、工場、役職員などに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があるほか、重大な被害が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、災害により当社グループの主要な取引先に重大な被害が発生した場合には、取引先の営業・生産活動の停滞が当社グループの業績を悪化させる要因となる可能性もあります。
具体的な影響への対応策
事業継続計画基本書を策定しているほか、災害に対する事業継続対応マニュアルの作成、安否確認システムの導入、防災訓練などの対策を講じています。
サステナビリティに関するリスク
当社への影響
TCFDの提言にある種々のリスクが、当社グループのみならずサプライチェーンにおいても重要な影響を及ぼすものと認識しており、税負担の増大等による直接的かつ財務的な影響のみならず、取扱商品・製品の技術的問題や市場での需要の減少、それに伴う企業評価の低下等が当社グループの業績および財政状態を悪化させる要因となる可能性があります。
具体的な影響への対応策
気候変動の課題を専門的に取り扱う組織体を設置し、シナリオの設定や影響額の算定、また継続的なモニタリングを行っていくと同時に、当社グループの置かれたサプライチェーンにおいて、環境配慮製品やサービスを当社グループのお客様であるものづくり企業へ提供することにより、脱炭素社会の実現と環境課題に積極的に取り組んでいきます。
気候変動に関連する課題以外でも、環境破壊、人権、ダイバーシティなどに関連するさまざまな基準や市場の変化に伴って当社グループのビジネス領域での需要や競争原理が変化し、それらの変化への対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があると認識しており、グローバル企業が実施するさまざまなサプライチェーン・デューデリジェンスに適合する会社基準の策定に取り組んでいます。