気候変動

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TCFD提言に基づく開示について

当社は、2022年に「気候関連財務情報開示タスクフォースTCFD」の最終報告書TCFD提言への賛同を表明いたしました。以降当社は、TCFD提言の考え方に基づき、気候変動が当社の事業活動に与えるリスクおよび機会を抽出しTCFD提言に基づく情報開示に努めています。

気候変動に関する基本的な考え方

近年、世界各地において、異常気象が引き起こす災害等が発生し、気候変動に対する危機感が高まっております。併せて世界的な脱炭素化の流れが加速し、日本政府も2050年にカーボンニュートラルの達成を目指すことを宣言いたしました。
このような情勢の中、当社グループは、経営理念の「人をつなぎ、技術をつなぎ、世界を豊かに」を具現化するため、独自のエンジニアリング機能を生かした事業活動により、お客様の環境課題を解決し、ステークホルダーの皆様から常に必要とされる存在であり続けることを目指しております。地球環境の保全、改善に資する商品・サービスを提供することにより、事業活動を通じて気候変動の緩和と適応に向け取り組んでまいります。

TCFDレポート

TCFD提言が推奨する情報開示項目

TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が、財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを把握するべく、4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することが推奨されております。
当社は、これらの項目に基づいた情報開示の拡充に努めていくとともに、気候変動への取り組みが社会の持続的発展と当社の中長期的な企業価値の向上に資するものと強く認識し、サステナビリティへの取り組みをより一層推進してまいります。

ガバナンス

当社は、2004年1月よりISO14001に基づく、環境マネジメントシステム(EMS)を運用し、気候変動を含む環境負荷低減を組織的に推進しております。トップマネジメントは代表取締役社長執行役員、環境管理責任者は総務本部長と定め、環境方針に基づきEMS推進委員会を中心に、PDCAサイクルにより継続的な改善に取り組んでおります。
また、当社は持続的な成長を確保することを目的として、2022年4月にサステナビリティ推進委員会(現サステナビリティ委員会)を設置し、気候変動を含むサステナビリティに関する事項を審議することとしております。同委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、サステナビリティ推進責任者である上席執行役員のもと、社内の取り組みを定期的にモニタリングし、今後の取り組みに対する審議・検討を行っております。審議内容については取締役会に報告され、取締役会では独立社外取締役の視点も取り入れたうえで、サステナビリティの取り組みの評価を行っております。
そして、2023年4月にサステナビリティ推進部を設置し、EMS運用をさらに強化するとともに、サステナビリティ推進責任者のもと同委員会の事務局として当社グループ全体における取り組みを加速させております。

戦略

当社グループは、「気候変動への取組みとサプライチェーンマネジメント」をマテリアリティの一つとして特定し、サステナビリティ基本方針及び環境方針を定め、脱炭素社会の実現を目標に掲げております。
また、自社の温室効果ガス(GHG)削減目標として、Scope1及びScope2の削減率を定めるとともに、成長戦略「V2030」の投資戦略に脱炭素を取り込むなど、事業を通じた取り組みを開始しております。

気候関連のリスクと機会

当社では、TCFD提言が示す気候関連リスク・機会項目等に基づき、事業に影響する項目の検討を実施いたしました。検討に当たっては、サステナビリティ推進部を中心に、関連事業本部、管理部門等から構成するTCFD分析ワーキンググループを発足させ、議論および検討を行い、代表取締役社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会での承認を得ました。

シナリオ分析の結果

参照したシナリオ

設定シナリオ 1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
将来社会像 脱炭素化により化石燃料関連のビジネスが減少し、新素材・新技術等による製品需要が増加 脱炭素・低炭素の動きは一部に止まり、気候変動に起因する自然災害が頻発、激甚化
移行リスクシナリオ 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」
(IEA WEO2022)
「Stated Policies Scenario(STEPS)」
(IEA WEO2022)
物理リスクシナリオ RCP2.6(IPCC AR5)
SSP1-1.9/SSP1-2.6(IPCC AR6)
RCP8.5(IPCC AR5)
SSP5-8.5/SSP1-2.6(IPCC AR6)

気候関連のリスク及び機会

プラント・エネルギー事業プラント・エネルギー事業Icoおよび自動車事業自動車事業Icoにおけるシナリオ分析の結果は、以下のとおりです。

※短期/3年以内、中期/4~9年以内、長期/10年以上
リスクの種類 トリガー 自社への影響 セグメント 時間軸 財務影響
1.5℃ 4℃
リスク 移行
リスク
政策/
法規制
カーボンプライシングの導入 営業活動にかかるコストの増加 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 中期
各国の炭素規制、GHG排出量報告義務の強化 取引手続き・モニタリング調査等におけるコストの増加 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 短期
燃料規制や環境規制の強化 内燃機関自動車の新車販売台数の低下による取引機会の喪失 自動車事業Ico 中期
市場 原材料価格の高騰 取扱商材の仕入れ価格高騰による利幅の低下 プラント・エネルギー事業Ico 中期
化石燃料ビジネスの衰退 関連業界・市場規模縮小による従来の設備需要の減少 プラント・エネルギー事業Ico 中期
新規事業の失敗 新たな脱炭素技術を活用した商材への投資失敗による減収 プラント・エネルギー事業Ico 中期
EVの普及 EV製造設備の価格競争激化による収益の低下 自動車事業Ico 中期
EV製造企業の増加による顧客購買力の低下および自社営業コストの増大 自動車事業Ico 中期
内燃機関への設備投資縮小に伴う関連製造設備の収益低下 自動車事業Ico 中期
EV普及の鈍化 EV需要の停滞に伴い設備投資が減少し、取引機会が減少 自動車事業Ico 中期
モビリティサービスの普及・拡大 自動車生産量の低下による製造設備需要の減少 自動車事業Ico 長期
評判 環境対応への遅れによるステークホルダーからの評判低下 人員不足、労働生産性の低下 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 中期
物理的リスク 急性 異常気象の激甚化 洪水によるサプライチェーン寸断に伴う納期遅延の増加、取引機会の喪失 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 長期
物流や保険料等のコスト増大による価格転嫁への懸念 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 長期
慢性 気温の上昇 バイオマス原料等の調達困難 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 長期
※短期/3年以内、中期/4~9年以内、長期/10年以上
機会の
種類
トリガー 自社への影響 セグメント 時間軸
財務影響
1.5℃ 4℃
機会 資源の効率性 カーボンニュートラル政策 補助金による取引機会の増加 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 中期
新たなエネルギー源 新市場における取引機会の増加 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 中~長期
市場 CCS等の新たな機会 掘削事業の横展開による取引機会の増加 自動車事業Ico 長期
EV市場の成長・拡大 新たな生産設備の需要増加に伴う収益の向上 自動車事業Ico 中期
EV製造関連企業の増加による取引機会の拡大 自動車事業Ico 中期
新工法開発による新規設備投資に伴う取引機会の拡大 自動車事業Ico 中期
レジリエンス 気候変動への取り組みの外部評価 脱炭素化への取り組みの本気度により企業価値が向上し外部評価が向上、社員エンゲージメントの上昇 プラント・エネルギー事業Ico自動車事業Ico 中期

TCFDレポート

当社は、持続可能な地球環境への貢献をマテリアリティの一つとして特定し、脱炭素社会の実現を目標として掲げております。自社の削減目標として、Scope1、2の削減率を定めるとともに、成長戦略V2030の投資戦略に脱酸素を取り込むなど、事業を通じた取組みを開始しております。

対応策

気候変動はリスク・機会の両面において当事業への影響が少なくないことから、中・長期的な成長に向け、経営における重要課題の一つと認識しております。この複数のシナリオ分析を踏まえ、当社では気候変動に関するリスク低減と機会獲得に向けた対応策を講じており、具体的には、事業投資の検討に気候関連リスク・機会の観点を取り入れ、バイオマス発電やアンモニア製造技術に関する事業などの取り組みを進めております。
今後も分析対象事業を順次広げつつ、これらの分析結果を定期的かつ継続的にモニタリングしてまいります。また、当社グループの置かれたサプライチェーンにおいて、お客様であるものづくり企業に対する環境配慮製品やサービスの提供のみならず、カーボンニュートラルの実現に向けた各種活動や新たな成長市場への参入の実施等により事業ポートフォリオの最適化を図り、事業戦略におけるレジリエンスの向上に努めてまいります。

リスク管理

当社のリスク管理は、リスク管理委員会を中心として行われ、サステナビリティに係るリスクについても、同委員会の議案として取り上げられております。但し、気候変動リスクを含む重要かつ優先的に取り組むべきリスクについては、サステナビリティ委員会のモニタリングを受けております。
また、リスク管理委員会は、リスク管理を効果的かつ効率的に実施するために、リスク管理規程に基づき、その他のリスクと併せて当社戦略に沿った気候変動リスクの管理を行っております。

指標及び目標

当社グループの気候変動リスクに関する指標及び目標並びに実績は、次のとおりであります。

  1. Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  2. Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
    排出量の算定に関しては、当社及び国内外連結子会社を範囲としますが、小規模で全体への影響が限定的な拠点については除外しております。
    Scope2は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められた電気事業者別の調整後排出係数(令和5年度報告用)に基づき算定しております。
項目 目標 2022年度実績
(t-CO2
2023年度実績
(t-CO2
Scope1及びScope2 2030年度までに2020年度の温室効果ガスの排出量(1,617.37t-CO2)を46%削減、2050年度までにネットゼロを目指す。 1,773.16 1,912.62

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