基本的な考え方
当社は、「人をつなぎ、技術をつなぎ、世界を豊かに」との経営理念のもと、持続的な事業活動を通じた企業価値向上を目指しております。この成果を、株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまと共に享受するためには、経営基盤であるコーポレート・ガバナンスの充実が不可欠であると考えております。当社は、事業特性を踏まえた、より健全で、透明かつ効率的な取り組みを、不断に追求することを基本方針としております。
このような基本的な考え方の下、当社は2025年6月24日開催の定時株主総会における承認をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。監督と執行の分離を進め、環境変化に対応した果断で柔軟な意思決定と、実効的な監督の両立を目指して参ります。
コーポレート・ガバナンス強化の変遷
当社はコーポレート・ガバナンス強化を図るため、取締役会の多様性を確保するとともに、取締役会の実効性評価、ガバナンス委員会の設置など実効性の向上に段階的に取り組んでいます。
コーポレート・ガバナンス体制
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取締役会
取締役会は取締役12名(うち5名は社外取締役であり、監査等委員である取締役3名を含む)で構成しています。原則として毎月1回開催しており、臨時取締役会を適宜開催し、活発な意見交換を行う中で、経営の基本方針その他重要事項を決定するとともに、業務執行状況を監督する機関としての機能を十分に果たしています。
さらに、当社は意思決定・監督機能と業務執行機能を分離することにより機動的かつ効率的な業務運営を行い、もって企業価値の一層の向上を図ることを目的に執行役員制度を導入しています。一部の執行役員を国内外の連結子会社に責任者として派遣し、各社の業務執行を管理・監督しています。
監査等委員会
当社は2025年6月24日開催の第102期定時株主総会における株主の皆様からの承認をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しております。監査等委員3名のうち2名は社外取締役であり、監査等委員は取締役として取締役会に毎回出席するほか、常勤の監査等委員は社内の重要会議に出席するなどして、客観的立場で取締役の業務執行を監視しています。また、監査等委員会は、会計監査人から監査計画及び監査結果について報告並びに説明を受けるほか、監査対象、監査方法あるいは監査結果についての意見交換を行い、情報の共有に努める等、監査の実効性確保に努めています。
監査法人及び内部監査体制について
監査法人は、有限責任監査法人トーマツと監査契約を締結しており、公正不偏な立場から会計監査を受けているほか、適宜、会計面のアドバイスを受けています。
内部監査体制につきましては、内部監査部が中心となり、使用人の職務の執行が法令、定款及び内部統制基本方針並びに当社行動規範に適合していることを確認し、内部統制の評価等を行っています。
任意の委員会
ガバナンス委員会
社外取締役の知見および助言を生かし、透明性および公平性の確保とガバナンス強化によって企業価値を向上させることを目的に、経営陣幹部(代表権のある取締役をいう)および取締役の指名・報酬およびその他のガバナンスに関する事項を審議し、取締役会に答申又は提案を行う取締役会の任意の諮問機関としてガバナンス委員会を2020年10月1日に設置し、運営しています。本委員会の構成、活動状況は次のとおりです。
取締役会
活動状況 ※2024年度
実効性評価
取締役会の実効性については、前期の実効性評価において認識された課題の改善に向けて取り組み、当期の実効性の対応状況を確認しました。
2023年3月期の取締役会の実効性評価結果における課題認識を踏まえ、2024年3月期に取り組んだ内容は以下のとおりです。今後も、課題解決に向けて継続的に取り組んでいきます。
前期課題への取り組み状況
今後、取り組むべき課題・対応
- 取締役会構成員におけるさらなる多様性の確保
- 当社事業活動に最適なガバナンス体制の構築
- 企業価値向上に向けた中長期的な経営戦略に関する議論の活性化
- 取締役会資料の充実を図り、事前検討に必要な時間を確保
役員
選任理由
取締役(監査等委員を除く)
監査等委員である取締役
取締役のスキルマトリックス
※1 テクノロジー・IT・DX
※2 他業種知見
トレーニング
新任役員には、外部機関の役員研修会出席を必須としております。
また、全役員・社内幹部社員は、弁護士等の社外講師を定期的に招き、必要な知識取得のトレーニングを実施しております。
全社営業会議等の重要な会議への参加により、会社の事業、法律、財務、組織等に関する理解を深めております。
役員報酬
役員の報酬等の額又はその算定方法の決定方針
当社は役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針を定めており、その内容は、企業業績と企業価値の中長期的な向上を促すものとし、各役員の職責に見合った報酬体系としています。
社外取締役を除く取締役の個人別報酬については、取締役会の諮問に基づき、ガバナンス委員会が審議し取締役会に答申します。取締役会は、ガバナンス委員会からの答申について審議し、報酬額を決定いたします。
当社の役員の報酬は、固定報酬、業績連動報酬および非金銭報酬等により構成されており、業務執行取締役の種類別の報酬割合および報酬額については、その客観性・妥当性を確保する観点から、同業種かつ同規模である他企業における報酬構成割合および従来の支給実績との比較・検証を行うとともに、ガバナンス委員会への諮問および答申を踏まえ、取締役会で決定しております。監査等委員を含む社外取締役の報酬額については、その職務の独立性という観点から固定報酬および業績連動性のない株式報酬のみとしており、株主総会で決議された総額の範囲内において決定しております。
取締役(社外取締役を除く)の報酬制度の概要
当社は、2022年度を初年度とする中期経営計画「MT2024」の下、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化を目指しており、その一環として中長期的な企業価値のさらなる向上の実現に向けて、役員報酬制度の見直しを行いました。
また、2022年6月23日開催の定時株主総会決議により、取締役の報酬等の額を月額による定めから年額による定めに改め、当該報酬の範囲内で社外取締役を除く取締役に対しては、固定報酬に加えて業績連動報酬としての賞与を支給することとしました。報酬総額については、支給水準や取締役等の員数の動向と今後の見込み等を総合的に勘案し、2025年6月24日開催の定時株主総会決議により、年額4億60百万円以内としました。
役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
固定報酬
各役位別の役割や責任を明確にし、それらに沿った金額を毎月一定額ずつ支給する金銭報酬です。
業績連動報酬
全社業績に係る賞与(以下、「賞与A」)と、中期経営計画の達成に資する指標等に係る賞与(以下、「賞与B」)の2種類を支給します。賞与Aは連結業績の目標達成度に、賞与Bは中期経営計画の達成に資する指標等の達成度に基づいて、基準値の0%~130%で変動して支給する金銭報酬です。
業績連動報酬(賞与A)の算定方法
業績連動報酬(賞与A)の業績指標を連結営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益とします。業績指標として連結営業利益を選定した理由は、当社グループの本業から創出した利益を適正に反映する評価指標としてふさわしいと判断したためであり、業績指標として親会社株主に帰属する当期純利益を選定した理由は、成長に向けた投資の成果や株主還元の原資となり、当社グループの最終業績に責任を負うという観点より指標としてふさわしいと判断したためです。
非金銭報酬等
譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。役割に応じて毎年一定額の株式を支給し、役員の退任時に譲渡制限が解除される設定となっています。
各取締役への支給額=業績連動報酬(賞与A)の総額※1×(各取締役の役位別係数※2/役位別係数の合計)
- ※1:業績連動報酬(賞与A)の総額の計算方法:業績連動報酬(賞与A)の総額=104,560千円×(連結営業利益の年度目標に対する達成度×75%+親会社株主に帰属する当期純利益の年度目標に対する達成度×25%)
なお、年度目標に対する達成度が130%を超える場合、いずれも130%として計算します。
- ※2:各取締役の役位別係数
各取締役の役位別係数
報酬等の種類別の割合
代表取締役におけるケース

代表取締役以外の取締役におけるケース

業績連動報酬のインセンティブカーブ

※業績連動報酬は賞与に反映させています。
政策保有株式

政策保有株式の銘柄数および貸借対照表計上額の推移
事業の拡大、創出、協業体制の維持・強化や、事業運営上の必要性などを考慮し、株式の保有が当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断した場合に限り保有をし、保有の妥当性が認められない場合は当該企業の状況を勘案したうえで売却する方針です。四半期に一度取締役会において保有状況を確認し、個別銘柄の保有目的、中長期的な経済合理性および資本コスト等に見合った便益があるかどうかの検証をして、保有の継続又は縮減を判断しております。2025年3月期は3銘柄を売却し、2銘柄を縮減しました。
情報開示体制
株主との建設的な対話に関する方針
当社は、代表取締役社長執行役員をはじめとする取締役及び執行役員が積極的に決算説明会等投資家との対話に臨み、経営戦略・事業戦略・財務情報について、公平性・正確性・継続性を重視し、双方向の良好なコミュニケーションを図るIR(インベスター・リレーションズ)活動を展開しております。
- IR活動を統括する取締役
IR部門を担当する取締役を指名しております。
- IR活動のための体制
IR担当部門を中心として、経理本部、総務本部、経営企画本部とIR活動に関する意見交換を行い、方針を決定しております。
- 対話の手段
代表取締役社長執行役員他経営陣出席の下、決算説明会などの開催や、事業報告書・統合報告書の発行などにより、投資機会の促進と情報開示に努めております。また、必要と判断する場合、社外取締役や監査等委員である取締役も面談に臨みます。
- 社内フィードバックのための方策
決算説明会、会社説明会及び機関投資家面談などの結果については、経営陣にフィードバックしております。また、取締役会にもフィードバックを行い、企業価値向上に生かしております。
- インサイダー情報の管理
内部情報管理規程を全役職員に周知徹底しており、さらに問合せ窓口をIR担当部門に統一化することによって、インサイダー情報の管理に努めております。
2024年度の取り組み |
- 決算説明会:年2回(5月、11月)
- 個人投資合向け説明会:年5回(8月(2回)、12月、1月、2月)
- 投資家面談:年29回
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情報開示
経営内容の透明性を高めるために、コーポレートコミュニケーション部が中心となって積極的に情報を適時公開するとともに、IR活動の一環として決算説明会を開催し、株主や投資家の皆様へ事業の状況と今後の方向性について報告及び説明を行っております。併せて、コーポレートサイト等を通じて経営情報の迅速かつ適切な開示を行っております。